御殿場口ルート
   ルート解説

◆始点・新5合目(1440m)〜新5合5勺・次郎坊(1920m)

富士山スカイラインのトンネル手前から太郎坊の方に入って少し進むと、新5合目駐車場に到着します。駐車場の東側にバスの発着所と売店の富士急小屋ハーフマウンテンがあり、この下には常時水が循環しているトイレがあります。

御殿場口ルートは売店の左側にある鳥居(1440m)から始まります。


新5合目・バス発着所とハーフマウンテン


常時水が循環してるトイレ


新5合目・起点の鳥居(1440m)

砂礫の道を直登していくと10分ほどで5合目<旧2合目>大石茶屋(1520m)に到着します。ここから5〜6時間は山小屋やトイレがないのでしっかり準備をしていきましょう。

大石茶屋の左側で道が3つに分かれています。左の道は双子山(二ッ塚))に向かう登山道(青)、右の道は御殿場口下山道(黄緑)、御殿場口登山道(緑)は真ん中の道を進みます。

すぐ先で道幅がとても広くなり、昼ならともかく夜間だと道筋がよく分かりませんので、登山道の標識を探しながら進んでいきます。また、登山道は意外としっかり踏み固められていて、道から外れると柔らかい砂礫で足取りが重くなります。足元が重くなったら登山道からずれている可能性があるので修正しましょう。

700mほど進むと幅2〜3m程のハッキリとした登山道となりジグザグと登っていきます。延々と登っていき、大石茶屋から2km(約2時間)進むと、ブルドーザー道を横切って新5合5勺<旧2合5勺>次郎坊小屋跡(1920m)に到着します。ふと後ろを振り返ると、同じ高さに双子山を見ることができます。


5合目・大石茶屋(1520m)


大石茶屋分岐点・登山道は真ん中


5合5勺・次郎坊小屋跡(1920m)



◆5合5勺・次郎坊(1920m)〜7合目・日の出館(3030m)

次郎坊を出発すると、すぐに登下山道の分岐点があります。左の高い柱が立っている方は下山道の大砂走りで、登山道は右を直進していきます。

ここから傾斜は急にきつくなり、足元が砂礫でズルズルと滑りやすくなっています。下山道がすぐ傍に近づいた所が旧2合8勺(2085m)で、須山口下山歩道と連結しています。本来はこの先、須山口登山道でしたが、須山口の衰退により御殿場口登山道になりました。

次の曲がり角には点滅塔(2110m)があり、すぐ先でブルドーザー道(2120m)と交わります。次の曲がり角で再び下山道に接近し、下山道の向こうには小屋跡と思われる所があります。位置的に見て、ここが旧3合目(2150m)になるのでしょうか?昔の資料を見ると、3合目には獅子岩があるそうですが、それらしきものは見当たりませんでした。


次郎坊の分岐点・登山道は直進


旧2合8勺・非難小屋(2085m)


旧3合目・小屋跡?(2150m)

相変わらず傾斜のきつい砂礫のつづら折を8回折れ曲がって登っていくと、長い直線の道になります。300mほど登ると、ブルドーザー道と交わった所が旧4合目(2310m)で、何度か雪崩により山小屋が流出していると記録されています。

再び延々とつづら折を登っていくと点滅塔があり、その先に新6合目<旧5合目>五合目ヒュッテ跡(2590m)の小屋があります。
2022年から、わらじ館別館として登り六合小屋・半蔵坊がオープンしました。(2021年は避難小屋として運用)

15〜20分ほど登るとブルドーザー道と交わり、この付近に須走口に向かう御中道がありました。現在、この道は踏み跡も分かりづらく、崩れやすく、危険な個所が多いため、通るのは控えましょう。

ブルドーザー道から10分ほど登ると、ブロックで組まれた小屋(2775m)が現れます(現在は撤去され石垣のみ)。ここがが旧5合5勺だったのでしょうか?その先には何か変な塔があり、何か気象設備の施設だったのでしょうか。


旧4合目の点滅塔(2310m)


旧5合目・五合目ヒュッテ跡(2590m)


旧6合目手前のブロックの小屋(2775m)

10分ほど登ると点滅塔があり、6合目寶永館跡(2830m)に到着します。ここから宝永山や大砂走りにアクセスすることができます。

細かく折れ曲がるつづら折を登っていくとブルドーザー道(2995m)と交差して、その上で下山道との合流地点(3015m)に出ます。この合流地点には長田輝雄之供養塔があります。

このすぐ上に、7合目日之出館(3030m)に到着します。


6合目・小屋跡(2830m)


下りとの分岐点にある長田輝雄之供養塔(3015m)


7合目・日之出館(3030m)



◆7合目・日の出館(3030m)〜山頂・銀明水(3710m)

日の出館から15分ほど登ると、7合4勺わらじ館(3090m)に到着します。

さらに10分ほどで、宝永第1火口の真上に位置する7合5勺砂走館(3110m)に到着します。

ここから20分ほど登ると7合8勺梶小屋跡(3200m)に到着します(現在は撤去され石垣のみ)。


7合4勺・わらじ館(3090m)


7合5勺・砂走館(3110m)


7合8勺・梶小屋跡(3200m)

山小屋の廃墟から30m進んだ所には鳥居跡(3210m)があり、そこから15m登った所に富士宮口8合目に繋がる連絡ルートがあります。

このすぐ上にはブロックで作られた小屋があります。冬期登山用の鉄柵沿いに建てられていることから、おそらく冬山登山の測候所職員や強力の緊急避難所(3230m)だと思われます。小屋上部にある茶色い所が扉になっているそうで、雪が積もっている時にここから入るようになっているそうです。


鳥居跡(3210m)


富士宮口8合目との連絡ルート(3225m)


緊急避難小屋?(3230m)

小屋から20分ほどで、御殿場口最後の山小屋である7合9勺赤岩八合館(3290m)に到着します。ここのカレーはおかわりする事ができて、とても人気があります。

ブルドーザー道と交差して、赤岩八合館から20分ほどで8合目見晴館跡(3390m)に到着します。この小屋跡の先には、長田尾根登山路建設記念碑があります。

昭和33年(1958年)気象庁職員であった長田輝雄さんが、7合目付近で突風に吹き飛ばされて岩に頭を打ち殉職してしまい、全国の気象庁職員から募金が集められて、ここから山頂までの1.1kmの区間に登山道を開設して鉄柵が設けられ、この尾根を長田尾根と呼ぶようになりました。冬季には鉄柵は数cmしか顔を出さず、突風が吹くたびにこの柵に必死にしがみつき、風が止むのを待っていたそうです。

しかしこの鉄柵、2009年7月に視界不良の中、長田尾根に迷い込む遭難死亡事故が発生し、これをきっかけに原因の1つとして撤去されることが決まり、2010年に完全撤去されました。


7合9勺・赤岩八合館(3290m)


8合目・見晴館跡(3390m)


長田尾根登山路建設記念碑

長田尾根の先に大智禅師歌碑があり、この辺りから登山道は丸い石がゴロゴロ転がっていて歩きにくくなっています。ゴールの山頂は良く見えますが、進んでもなかなかたどり着けないこのつづら折が最後の難関となります。

山頂手前の左側に社のような跡(3650m)があり、長田尾根から1時間20分ほどで鳥居をくぐって山頂・銀明水(3710m)に到着します。


大智禅師歌碑


山頂に続く最後のつづら折


山頂手前の社跡?(3650m)

山頂には銀明水と山小屋の山頂銀明館、そして石碑がいくつかあります。この山頂銀明館は奥宮前にある山頂富士館の別館ですが、今まで開いてる所を見たことがありませんので、よっぽどの混雑時にしか開けないのでしょうか。

あっぱれ!富士登山』さんの解説では、この銀明水は別名銚子口と呼ばれているそうです。おそらくこの名前の由来は千葉の銚子と同じで、『銚子』は小さなつぎ口を持つ酒器の一種で、つぎ口のような形状をしていることから銚子口と呼ばれていると推測します。


山頂の鳥居・別名銚子口(3710m)


山頂銀明館


山頂・銀明水



◆下山・大砂走り

御殿場口下山道は、山頂から7合目日之出館(3030m)までは登山道と同じルートを戻ります。丸い石がゴロゴロ転がっているので、落石しないように下っていきましょう。7合目下の登下山道合流地点を右に進むとブルドーザー道と交わり、その先から大砂走りが始まります。


大砂走りとの分岐点(3015m)


大砂走り入口(3010m)


大砂走り入口(3010m)

始めのうちは道幅も狭く、大きめの石が埋まってたりもするので気を付けて進んでください。鉄柵(2940m)の切れている間を抜けていき(2010年に撤去されました)、更に下っていくと大砂走り6合目山小屋跡(2790m)に到着します。

ここから御殿場口6合目に向かうことができます。この下には宝永山分岐点(2770m)があります。宝永山には右に入って行き、御中道である尾根を歩いていきます(青)


大砂走り6合目・山小屋跡(2790m)


宝永山分岐点(2770m)


軽快に下れる大砂走り

宝永山を過ぎると、どんどん道幅が広くなっていき、広場の中の真ん中を行進するので、標柱とロープから離れないように下っていきます。左手に登山道が近づいてくると、右側に登る時に見えた小屋跡(2150m)があります。

更に下っていくと、須山口下山ルートとの分岐である旧2合8勺(2085m)に着きます。ここにある傾いている小屋はおそらく非難小屋ではないかと思われます(現在は撤去されています)。須山口は双子山の西側に向かい、御殿場口は東側に向かいます。

ここは、8月第1日曜日に行われる富士山登山駅伝の中継点で、ダイナミックに下ってきてたすきを繋ぐ登山駅伝最大の見せ場でもあります。

少し下でブルドーザー道と分かれる様になるので、左側のロープや標柱に従って下っていきます。するとすぐに右手に何かの廃墟跡(2015m)がありました。


旧3合目?・小屋跡(2150m)


旧2合8勺・非難小屋(2085m)


富士山登山駅伝


2合8勺下の廃墟跡(2015m)

その後も軽快に下っていき、新5合5勺<旧2合5勺>次郎坊小屋跡(1920m)で長かった大砂走りは終わります。

次郎坊小屋の前を通り、左下に行ってブルドーザー道を通っていきます。少し硬めなので、膝の悪い人は柔らかい場所を歩いていった方がいいでしょう。

次郎坊から30〜40分ほど歩けば5合目<旧2合目>大石茶屋(1520m)に到着し、更に5分ほどで新5合目に到着します。


5合5勺・次郎坊分岐(1920m)



ブルドーザー道を下っていく



大石茶屋、ゴールはもう少し(1520m)



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