吉田の火祭り

    吉田口ルート(平成21年度)

毎年8月26日・27日のお山終いに行われる富士吉田市の『吉田の火祭り』は、島田の帯祭り(静岡県島田市)・国府宮の裸祭り(愛知県稲沢市)と並び、日本三大奇祭のひとつとして挙げられています(諸説には帯祭り・裸祭りではなく、長野県諏訪市の御柱祭・秋田県男鹿市のなまはげ祭りなどが挙げられる場合がある)。

祭りの起源は約400年以上前で、室町時代末期の「吉田之新宿帳」には上吉田の氏神である諏訪神社の祭りとして行われていました。たいまつが灯されるようになったのは、北口本宮富士浅間神社に祀られている木花咲耶姫命が、燃え盛る火の中で皇子を出産した故事に由来し、確実な所では江戸時代後期の文化年間の記録に「神篝火」という記述がありました。また、富士山の火山活動を鎮める意味も込められており、富士山の形をした神輿『富士御影』を地面に数度叩きつける様も、噴火しないように祈願されています。

現在の祭りは、26日の『鎮火祭』・27日の『すすき祭り』が行われます。鎮火祭では、浅間神社・諏訪神社から御旅所への渡御し、大たいまつに火を入れて、一面火の海と化します。すすき祭りでは、市内を練り歩き、神社に還御して、境内の高天原で最高潮を迎えます。

なお、ここに記載されている時間は平成21年度のもので、年によって前後します。



◆鎮火祭

●本殿祭・諏訪神社祭

場所:北口本宮富士浅間神社・諏訪神社
時間:8月26日 14時50分〜16時15分

14時50分、本殿左側の場所でスケジュール表にはない祭事が始まりました。14時56分、祭事が終わり本殿に移動します。15時04分、本殿にて本殿御神霊の諏訪神社への奉還を願う本殿祭が執り行われました。


本殿左側の場所で祭事


本殿に移動


本殿にて本殿祭

15時35分、場所を西宮本殿に移し、諏訪神社へ御神霊を御動座が行われます。この時、斎服の神職十数名が白い絹垣で御神霊を守り、周りの人たちは脱帽低頭(帽子をとって頭を下げる)します。この時はカメラやビデオの撮影は禁止です。

15時50分、御神霊は一旦諏訪神社に納められ、両神霊の大前に神輿へ御動座を促す諏訪神社祭(御動座祭)行われます。16時20分、祭事が終わると再び絹垣に囲まれて、明神神輿へ両神霊が奉鎮されます。


諏訪神社に一旦納められる


諏訪神社祭(御動座祭)


明神神輿に両神霊が御動座



●発輿祭(御輿・御影渡御)
場所:境内〜国道139号線〜御旅所(コミュニティーセンター)
時間:8月26日 16時15分〜18時15分

16時15分、まずは子供たちが担ぐ明神神輿・富士御影が出発します。続いて16時30分、明神神輿と富士御影が諏訪神社前の高天原に移動し、発輿祭が行われます。この際、重さ1.5トンもある富士御影を3回地面に叩き落とします。時々行われるこの行為は、地面に叩きつけることで富士山が噴火しないように、鎮火と安泰を願掛けしています。


始めに子供神輿・富士御影が出発


諏訪神社前の高天原に移動


重さ1.5トンある富士御影も続く

16時40分、大鳥居をくぐり参道を下っていきます。大きな富士御影が石橋を渡るときはギリギリで、担ぎ手が落ちないかヒヤヒヤものです。神輿が過ぎると、次々と3m以上ある大松明が立てられていきます。


御神饌・真榊台が先陣きって出て行く


ギリギリで橋を渡る富士御影


神輿が通った後、大松明が建てられる

境内を出て、国道138号線を進みます。途中で、西念寺の住職がお経を唱えながら神輿を迎えます。上宿交差点を曲がり、富士みち(国道139号線)に入ります。18時08分、御旅所のあるコミュニィティーセンターにくると、神輿はスピードを上げて勢い良く中に入っていきます。


西念寺の住職が神輿を迎える


御旅所の前でスピードが上がる


御旅所に納められる



●御旅所奉安祭・松明点火
場所:御旅所(コミュニティーセンター)・境内〜国道139号線〜金鳥居
時間:8月26日 18時15分〜23時30分

18時15分、御旅所に神輿が納められると、御旅所奉安祭が行われます。神事が行われると同時に、すべての大松明が立てられて、大松明や井桁に組まれた組木に一斉に点火されていきます。町中は火の海となり、深夜までその火は焚かれます。


御旅所奉安祭


すべての大松明に点火される


街は火の海と化す

御旅所の神事が終わると、隣の神楽殿では太々神楽舞が始まります。御師旧外川家住宅のそばにある広場では、富士山火焔太鼓の演奏が行われていました。


神楽殿で太々神舞楽


太々神楽舞A


富士山火焔太鼓



◆すすき祭り

●御旅所発輿祭(御輿・御影還御)

場所:御旅所(コミュニティーセンター)〜中宿〜下宿〜中曽根
時間:8月27日 13時40分〜15時30分

明けて13時40分、御旅所発輿祭が行われます。神事が終わると神輿を担ぎ、御旅所を出発します。富士みちを下り、金鳥居で富士御影を地面に叩きつけ、ここで少し休憩します。


御旅所発輿祭


御旅所から出発


金鳥居で富士御影を地面に叩きつける

更に国道139号線を中曽根交差点まで下り、ここ
で休憩して折り返して戻ります。金鳥居交差点で曲がり、西へ東へ往復して金鳥居に戻ってきます。


更に富士みちを下っていく


中曽根交差点で折り返し


金鳥居に戻ってくる



●金鳥居祭
場所:金鳥居
時間:8月27日 15時30分〜15時50分

15時30分、金鳥居金鳥居祭が行われ、この神事を境に神輿は還御の途につきます。15時50分、神事が終わると神輿を担ぎ、御坂みちに入ります。富士吉田駅前で折り返し、今度は赤富士通りに入って行きます。また折り返して金鳥居に戻り、富士みちに入って旧御師街を進みます。途中、西念寺門前で住職が見送り、上宿交差点で右に曲がり、折り返して再び上宿交差点に戻ってきます。


金鳥居祭


神輿が還御の途につく


富士山に向かって進む富士御影



●民謡踊り・太々神楽
場所:北口本宮富士浅間神社
時間:8月27日 17時00分〜18時00分

神輿が還御の途についている頃、北口本宮富士浅間神社の境内では17時00分から民謡踊りが、18時00分からは神楽殿で太々神楽舞が行われます。


境内で民謡踊り


境内の神楽殿で太々神楽舞


太々神楽舞A



●御鞍石祭
場所:御鞍石
時間:8月27日 18時55分〜19時10分

日が暮れ始め、篝火に火が灯され始めます。その篝火に誘導されるように、18時50分、御鞍石に神輿が到着します。神輿は御鞍石に据えられて、御鞍石祭が行われます。この御鞍石がある所は、諏訪神社の旧社地と伝えられています。


篝火に導かれ、暗闇を進む


御鞍石


御鞍石祭



●高天原祭
場所:神社境内・高天原
時間:8月27日 19時20分〜19時45分

御鞍石の神事が終わると、神職と世話人はあげ松に急ぎ、「諏訪ノ宮 諏訪ノ宮 御影 八葉神 さそふがみ けにも さふらふ」と、祭が滞りなくあがると謡います。世話人は提灯を灯して、神輿を迎えます。世話人に導かれ神輿は高天原に入り、19時20分、神輿が廻り始めます。


世話人が提灯を灯し、神輿を迎え入れる


高天原に神輿が入ってくる


勢い良く神輿が高天原を廻り始める

神輿と共に、提灯を持った世話人やすすきを持った人たちと勢い良く駆け回り、3周目からは富士御影も渦の中に入って行きます。途中自分のそばで、勢いあまって篝火が倒れて、観客にあたるハプニングがありましたが大事には至らなかったようで一安心。7周廻ると、富士御影を3回地面に叩きつけ、祭の最高潮を迎えます。神輿が高天原に納められ、高天原祭が行われ、無事に神幸祭が終了した旨を奏上します。


3周目から富士御影も参入する


祭は最高潮に達する


高天原祭



●着輿祭(諏訪神社還幸祭・本殿還幸祭)
場所:北口本宮富士浅間神社・諏訪神社
時間:8月27日 19時45分〜21時00分

19時45分、神輿を諏訪神社に移して着輿祭が行われ、神輿が下ろされると拍手喝采が鳴り響きます。絹垣に囲まれて両神霊を諏訪神社に御動座し、19時50分、諏訪神社還幸祭を行います。


着輿祭


諏訪神社に一旦納められる


諏訪神社還幸祭

19時50分、神事が終わると、浅間神社の御神霊が西宮本殿に還御するため、境内の電気が消され、絹垣に囲まれ、松明のと提灯の明かりの中を厳かに御動座します。納められると世話人たちは役目を終え、拍手が送られます。20時40分、本殿では神職たちだけで本殿還幸祭が密やかに行われていました。あれほど喧騒としていた境内は、富士の夏の終わりを告げるかのように静寂に包まれました。


西宮本殿に還幸



世話人の役目終了



本殿還幸祭



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