富士講の足跡を辿る・日本橋からの富士山道

    甲州道中A 布田宿〜八王子宿

◆布田宿(39m)〜府中宿<番場宿>(55m) 5.21km
ルートMAP

中央自動車道の下をくぐり、飛田給駅入口交差点(41m・26.26km地点)に来ると右手に味の素スタジアムが見えてきます。甲州道中は真直ぐ進みますが、交差点のすぐ先に左の路地に入って、すぐ右に曲がる道が初期の甲州道中(以後、旧甲州道中)になり、甲州道中の少し南の道筋を進んでたようです。

この旧甲州道中を真直ぐ進むと、白糸台駅そばの線路にぶつかります。本来は真直ぐ進みますが、現在は線路があるので道なりに左カーブをし、踏切を渡って府中第4小の手前を左に曲がります。多磨霊園駅前を過ぎると、7里目の常久一里塚があります。

その後、真直ぐ進むと東府中駅前で甲州道中と合流できます。更に旧甲州道中は現在の京王線の線路の上を通り(この区間通行不可)、府中競馬正門前駅から普門寺前を通って、大国魂神社の参道を横切って九次・府中宿<本町宿>に入っていきました。府中本町駅前のイトーヨーカドーの北側辺りに本陣があったそうです。


飛田給・薬師堂前の旧甲州道中入口


薬師堂前の旧甲州道中入口


7里目・常久一里塚跡

話は甲州道中に戻し、飛田給駅入口交差点から道なりに進み、車返団地入口交差点の右手前に観音院があり、その塀の脇に常夜燈(44m・27.17km地点)があります。

踏切を渡って300m先の左手に染谷不動尊(46m・27.88km地点)があり、更にそこから600mほど進むと常久八幡宮(48m・28.48km地点)があり、境内の公園にはベンチとトイレがあり休憩するにはもってこいです。この八幡宮から南に下った所に常久一里塚があります。

東府中駅
(50m・29.03km地点)の前で正面の道は二又に分かれますが、左側の真直ぐの道に進んで踏切を渡ります。踏切を渡ると武蔵国府八幡宮(53m・29.58km地点)があり、この辺りが八幡宿と呼ばれていた由来が書かれており、八幡宿といっても宿場町ではなく、農業の集落だったそうです。八幡宿交差点を過ぎると道が広くなって、府中宿が始まります。


染谷不動尊


常久八幡神社


武蔵国府八幡宮

大国魂神社
の東側が<新宿>(30.34km地点)で宮西2丁目交差点辺りに本陣があったそうです。参道を越えて西側が<番場宿>(55m・30.71km地点)となり、府中市役所前交差点の左側には高札場が残っています。


九次・府中宿入口の八幡宿交差点


大国魂神社参道


番場宿・高札場跡


◆府中宿(55m)〜日野宿(71m) 8.35km
ルートMAP

高札場を過ぎると、国鉄下川原線跡に作られた緑道が横断しています。その先に高安寺があり、源義経も立ち寄って武蔵坊弁慶が大般若経を書き写したと伝えられています。その名残から辺りに弁慶橋跡弁慶坂といった名称がつけられています。

京王線の踏切を渡り200mほど進むと、趣のある聖マルコ教会があります。さらに300mほど歩くと、立派な門の内藤家冠木門が見えてきます。これは府中宿の本陣から移設されたと言われています。


弁慶橋跡


聖マルコ教会


内藤家冠木門

甲州道中は、本宿町交差点で久しぶりに国道20号と合流(32.10km地点)して進みます。国道20号の歩道は幅が狭くなるところが多いので、自転車に気をつけて歩いていきましょう。本宿交番前交差点の交番横には秋葉大権現常夜燈が建っています。

JR南武線の上を歩き、国立IC入口交差点を過ぎると右側に常夜燈が見えてきます。谷保駅の辺りに来ると、左側に鳥居が見えてきます。これは谷保天満宮(33.94km地点)で、神社仏閣は低いところから参道を登って行くのが通常なのですが、こちらから入ると少し下って拝殿に行くようになります。これは元々旧甲州道中が天満宮の南側を通っていたので、こちらは裏参道という事になります。


本宿町交差点


谷保の常夜燈


谷保天満宮

天満宮を過ぎると、少し坂を下っていきます。矢川駅入口交差点の手前には元上谷保村常夜燈が、図書館分室の前には元青柳村常夜燈があります。日野橋五差路(36.73km地点)では正面右側の奥多摩街道が甲州道中の道筋となります。250mほど進み、一方通行路を左に曲がって柴崎体育館の前を通ります。


元青柳村常夜燈


日野橋五差路


奥多摩街道の甲州道中入口

新奥多摩街道を横断し、Y字路にぶつかる下水処理場の脇に日野の渡し場跡の碑があります。Y字路を右に曲がり、すぐに左折して土手の階段を登って行きます。正面に多摩川が横切り、その昔ここに日野の渡し(37.52km地点)があって船で多摩川を渡っていました。


下水処理場前の分岐点


その直後の分岐点


日野の渡り跡

現在は渡しが無いので、右側の立日橋を渡って行きます。スポーツ公園前を通り、左側に福地蔵<東の地蔵>(38.60km地点)があり、ここから十次・日野宿が始まります。

新奥多摩街道入口交差点を右折して、300m進むと左側に日野宿本陣(71m・39.06km地点)があります。この本陣は土方歳三の義兄・佐藤彦五郎の屋敷でもあり、天然理心流・佐藤道場として近藤勇・土方歳三・井上源三郎らが稽古していました。現在は資料館として中を見ることができます。


歌川広重・不二三十六景『武蔵多満川』


東の地蔵・福地蔵


日野宿・日野本陣

本陣向かいの図書館のところには、問屋場・高札場がありました。日野駅に近づくと左に八坂神社があり、天然理心流奉納額が奉納されています。甲州道中は八坂神社の向かいの所の右斜めに入って行き、突き当りを左折して国道20号を横断します。日野駅東交差点より先の道筋は、井上源三郎の墓のある宝泉寺の前を通り、日野宿の西側を守る坂下地蔵<西の地蔵>から日野大坂に向かうのですが、JR中央本線が横切っていて、現在踏切が無くなっており進むことができません。ですので日野駅東交差点を右に曲がり、ガードをくぐったら左折して大坂に向かいます。


八坂神社前・甲州道中入口


西の地蔵・坂下地蔵


日野駅のガードをくぐる

旧甲州道中は府中宿<本町>があった大国魂神社西交差点から南西に行き、JR武蔵野線を越えます。西に進み、分梅駐在所交差点から北西に向かいます。途中で道筋は途切れてしまいますが、府中第5小の前を通ってNEC府中工場の中を通ります。この工場敷地内に8里目の本宿一里塚があります。この一里塚の辺りで旧甲州道中は2つに分かれます。

初期の旧甲州道中は西に向かい、一本榎の塚を通り、石田の渡りを渡って石田村に入って行きました。西北西に向かい、9里目の一里塚の万願寺一里塚を通り、日野警察署の横から国道20号に出て日野宿に入りました。

一方、その後に作られた旧甲州道中は、本宿一里塚から北西に向かい、谷保天満宮の下から西に向かいました。中央自動車道の辺りで万願寺の渡りを渡って、南西に移動して万願寺一里塚の辺りで初期の旧甲州道中に合流しました。


石田の渡り跡


8里目・本宿一里塚


万願寺の渡り跡


9里目・万願寺一里塚


◆日野宿(71m)〜八王子宿<追分>(126m) 8.26km
ルートMAP

日野大坂を登り、国道20号と合流すると右に日野自動車の本社があり、この敷地内には10里目の日野台一里塚(40.99km地点)があります。見学したい方は事前に連絡しないと見学できません。長い日野自動車の敷地を過ぎると、今度はコニカミノルタの工場が続きます。この中には富士塚があり、こちらも事前連絡がないと見学ができません。

JR八高線の上を歩き、坂を下っていくと国道16号バイパスと交差します。この大和田町4丁目交差点の先の左斜めの道(43.93km地点)に入っていきます。350mほどの旧道を歩くと大和田橋(44.27km地点)に到着します。この大和田橋には、第2次世界大戦の空襲の傷跡が今も残されていますが、ガラスが曇っていてよく分かりませんでした。しかし、橋の下を見ると爆弾で大きくえぐれている所が今もありました。


大和田の甲州道中入口


大和田橋


大和田橋の下に残る焼夷弾跡


11里目・竹の鼻一里塚跡

大和田橋を渡ったら、大和田橋南詰交差点を右に曲がります。左手の第5中の先にある左前方への道に入って行きます。右手に公園と神社があり、ここに11里目の竹の鼻一里塚(44.95km地点)があります。

突き当りを左に曲がると、全長約2kmの長い十一次・八王子横山十五宿(45.14km地点)が始まります。まずはじめは<十王堂宿>で、真直ぐ進み、国道20号に出たところの八王子駅入口東交差点の所に木戸跡があり、旧甲州道中はそのまま直進して中央本線を越えて、JR八王子駅南口を右折して西に向かいました。金剛院の辺りに陣屋跡があり、中央本線の南側を歩いていきました。


市守神社


八王子宿・八日町宿跡

話を戻して、甲州道中は八王子駅入口東交差点で右折をして国道20号を西に進みます。市守神社の前を通って八王子駅入口交差点を過ぎると、賑やかな通りになります。この横山町の付近が八王子宿中心部であった<横山宿>(111m・45.61km地点)です。

八日町交差点を越えるともう一つの中心部の<八日町宿>(45.61km地点)で、ビュータワー八王子の所に説明の石碑がありました。本陣八幡町交差点の手前左側にあったそうです。本郷横丁東交差点の所には江戸時代後期から150年続く老舗『荒物加島屋』があり、明治20年(1888年)に建てられた蔵造りの建物は、関東大震災にも八王子大空襲の焼夷弾の直撃にも耐えた八王子の貴重な文化財です。


八王子宿・八日町宿跡


八王子宿・八幡宿跡の八幡町交差点


江戸時代から続く蔵造りの『荒物加島屋』

八王子横山十五宿は十王堂宿・横山宿 ・八日市宿・ 本宿 ・八幡宿・ 八木宿 ・子安宿 ・馬乗宿 ・小門宿 ・本郷宿・ 上野(上野原)宿 ・横町・ 寺町 ・久保宿 ・嶋坊(嶋野坊)宿 の15の宿場町が軒を連ねており、ほとんどの所在が今はよく分かっていません。

約2kmの長い直線を歩くと、追分町交差点(47.32km地点)に到着して陣馬街道と別れます。甲州道中は左斜めに折れて高尾に向かいます。交番の前には一度空襲によって破壊された追分道標が復元されています


八王子宿・八木宿跡


追分町交差点


追分町道標


3.八王子宿〜与瀬宿



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